コエンザイムQ10はエネルギー産生を助ける成分

人間の体内でエネルギーを作り出すときに必要となるのが「コエンザイムQ10」です。発見されたのは1957年で、それから長いあいだ医薬品として使うために研究が進められてきました。

2001年から食品として認可され、現在ではサプリメントの定番ともいえるくらい知名度があります。このページでは、コエンザイムQ10の働きや効果、サプリメントについてご紹介します。

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1.コエンザイムQ10の働きとその効果

コエンザイムQ10にはさまざまな働きがありますが、その中でも特に重要と言われているのは次の2つです。

  • 生命活動に必要なエネルギーを生み出す
  • 肌の酸化をおさえて、若々しさを保つ

まず、この2点について詳しく述べていきます。

生命活動に必要なエネルギーを生み出す

人間の体には約60兆個の細胞がありますが、コエンザイムQ10はそのほとんどの細胞の中に存在しています。

では、コエンザイムQ10はなぜ細胞内に多く分布しているのでしょうか。それには「ミトコンドリア」という器官が関係しています。

ここで、ミトコンドリアについて少し詳しくお話しします。
(コエンザイムQ10の働きを理解するために必要なので)

ミトコンドリアは、細胞ひとつの中に100~2000個ほど存在している小さな器官です。その内部では、脂質や糖質などの栄養素を元にしてATP(アデノシン三リン酸)という物質が作られています。

このATPと��う物質は、人間が活動するときの「エネルギーの元」になる物質です。正確に言うと、ATPが分解されるときに大きなエネルギーが発生するのですが、からだの各細胞は、そのエネルギーを利用することによって活動しています。

そして、ここで知っておきたいのは「ミトコンドリアの中でATPを生成するためには、コエンザイムQ10が必要!」ということです。
(※ 正確には、コエンザイムQ10が無くても多少のATPは作られます。ただし、生産効率は非常に悪くなります)

人間の身体のなかで、ATPの元になるのは糖質や脂質です。食事から摂った栄養がATPに変わり、そしてそのATPが分解されることでエネルギーが出るわけですが……もしミトコンドリア内のコエンザイムQ10が不足していれば、糖質や脂質をATPに変換しにくくなります。

どんなに栄養のあるものを食べてもエネルギーをうまく作り出せないわけですから、「なんだか身体がだるい」「ちょっと運動しただけで疲れる」といった症状も
起こりやすくなります。

また、食べた物をエネルギーまで代謝できなければ糖質や脂質が余ってしまい、体脂肪となって蓄積します。「コエンザイムQ10が不足していると太りやすくなる」と言われるのはこのためです。

その反対にコエンザイムQ10が体内にたくさんあれば、スムーズに効率良くATPを作り出せるため、疲労回復を早めたり、持久力を高めたりできるようになります。

実際、クロスカントリースキー選手に対して行われた調査研究によると、COQ10のサプリメントを飲んでいると持久力がUPするという結果も出ています。

アスリートではなく一般の方でも、コエンザイムQ10をしっかり補給することで「疲労がたまりにくい」「階段の昇り降りが苦にならない」といった効果を感じることが多いようです。

肌の酸化をおさえて、若々しさを保つ

コエンザイムQ10は若々しい肌を保つために欠か��ない成分とも言われています。これはコエンザイムQ10が持っている抗酸化力が関係しています。

どういうことかというと……

肌が老化する原因はいくつか考えられますが、その中でも無視できないのが「活性酸素」による悪影響です。

活性酸素は、人間が生きて活動しているかぎり必ず発生する物質で、体の中に入ってきた病原菌やウィルスを退治する働きがあります。しかしその反面、細胞を酸化させるという怖い力も持ち合わせています。

細胞の酸化というとなかなかイメージが湧かないかもしれませんが、たとえば魚を冷蔵庫に入れないで放っておくと、数時間もたてばイヤなにおいが鼻につくようになります。これは空気中の酸素によって魚が酸化されたためです。人間の身体のなかでも、似たような現象が活性酸素のせいで起こります。

ここで見逃せないのが、「細胞内のミトコンドリアでも活性酸素が発生する」という事実です。すでに述べたとおり、ミトコンドリアは活動エネルギーを生み出す器官ですが、実はエネルギーが作られるときに副産物として活性酸素も発生してしまうのです。

ということは、何もしなければ細胞の中が活性酸素だらけになり、それが原因で細胞が酸化して、肌が老化する……という怖い結果につながりかねません。

しかし、細胞内にコエンザイムQ10が充分にあるなら安心です。コエンザイムQ10は高い抗酸化力を持っていて、活性酸素の過剰な働きをおさえてくれるからです。

もちろん、コエンザイムQ10のほかにも抗酸化力の高い物質はたくさんあります。たとえばビタミンCやビタミンEは抗酸化成分として有名ですし、最近ではアスタキサンチンピクノジェノールなどの機能性成分も注目されています。

ただ、肌で発生した活性酸素の悪影響を封じこめるには、もともと細胞内に存在しているコエンザイムQ10を利用するのが効果的なのです。

2.コエンザイムQ10は20代をピークにして減っていく

コエンザイムQ10は生命活動の根幹に関わっている物質です。そのため人体にはコエンザイムQ10を作りだす仕組みが備わっていて、必要最低限の量は確保できるようになっています。

しかし残念なことに、体内で生成されるコエンザイムQ10の量は20歳前後をピークにしてどんどん減少していきます。

とくに、心臓に分布しているコエンザイムQ10が減少することは見逃せません。20代のころを100とすると、40代で7割、60代で5割くらいの量まで落ちこみます。

● 体内のコエンザイムQ10量(20代を100として計算)

心臓のコエンザイムQ10が少なくなると、心臓の収縮力が弱くなるため血液を送り出す力も弱くなります。血液がうまく回らなければ、酸素や栄養素が身体の隅々に届かなくなって、健康にも美容にも悪い影響が出てきてしまいます。

また、年齢が増えるにしたがって、心臓以外の場所でもコエンザイムQ10の量は減っていきます。たとえば肌の細胞です。20代~80代の人の表皮を採取して、そこに存在するコエンザイムQ10の量を測定した実験がありますが、やはり加齢とともに存在量が少なくなることが確認されています。

● 表皮のコエンザイムQ10の量

年齢を重ねるにつれて肌の弾力がなくなったり、保湿力が落ちて乾燥したりといったトラブルが起きやすくなります。その原因はさまざまですが、肌のコエンザイムQ10が減少することも、肌トラブルを引きおこす原因のひとつと考えられています。

ちなみに、加齢にともなってここまで急激に減っていく物質は、今のところコエンザイムQ10以外には確認されていません。それだけ年齢の影響を受けやすい物質ということですが、見方を変えれば「うまく補うことができれば若々しさを保てる可能性がある」とも言えます。

3.コエンザイムQ10を補うには?

コエンザイムQ10は、穀類・野菜・魚介類・肉類など、さまざまな食べ物の中に含まれています。とくに、イワシやサバといった魚はコエンザイムQ10を多く含んでいます。

● コエンザイムQ10が多く含まれる食品(食品100gあたり)

食品 含有量
イワシ 6.4 mg
サバ 4.3 mg
豚肉 2.5~4.1 mg
牛肉 3.1 mg
イカ 2.4 mg
ほうれん草 1.0 mg
ブロッコリー 1.0 mg

上記の食品は、食べる機会もそれなりに多いと思いますので、ほとんどの人は日々の食事からコエンザイムQ10を補給していることになります。

ただし、どんなに食生活に気をつけていても、食事から摂取できる量は10~15mgくらいが限界と言われています。

専門家の意見では、年齢の影響によって減ってしまった分を補完するには、一日あたり60~100mgのコエンザイムQ10を摂るのが望ましいとのこと。そのため、日々の食事だけでコエンザイムQ10を補うのは無理と考えるのが自然です。

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4.コエンザイムQ10のサプリメント

コエンザイムQ10は、食事から摂るよりもサプリメントで摂取するほうが確実です。(ただし、体内量が充分にある20代の人には不要と思います)

サプリメントの選び方

コエンザイムQ10のサプリメントはたくさんのメーカーから販売されています。注意したいのは、コエンザイムQ10の含有量が低い製品も出回っていることです。

また、コエンザイムQ10には酸化型と還元型の2種類があります。詳しくは「酸化型と還元型はどっちがいいの?」で述べていますが、基本的には還元型のサプリを使うのがベターです。

摂取タイミングは「食後」がべスト

コエンザイムQ10は、肝臓から分泌される「胆汁」の働きによって体内に吸収されます。ただし、胆汁はいつでも分泌しているわけはありません。分泌量が増えるのは食事の後です。

そのため、食後にコエンザイムQ10のサプリを摂るようにすると、吸収率も高くなります。

もともとコエンザイムQ10は吸収率の悪い成分ですので、摂取タイミングには気をくばるのが賢明です。少なくとも空腹時だけは避けるようにしましょう。

ちなみに、食後であれば朝でも夜でもOKです。ただし、夜に飲むと目が冴えてしまって寝つけなくなる、という方もたまにいるようです。

摂取量は一日60~100mgを目安にする

コエンザイムQ10の推奨摂取量や上限値は、公的な機関によって定められていませんが、「効果が期待できる最低量は一日60mg」というのが専門家の見解です。また、激しいスポーツをするアスリートの場合、一日あたり200~300mgを目安にすることもあるようです。

コエンザイムQ10の吸収率は個人差が大きく、人によって5倍くらいの差があるとも言われています。サプリメントを使っても効果が実感できないようなら、200mgをメドに量を増やすのもいいと思います。

副作用と注意点

コエンザイムQ10はもともと人の体内にある物質なので、副作用の心配はほとんどありません。大量に飲むと、軽度の副作用(胃もたれ)が起こることはありますが、重大な副作用が発生したという報告は今まで出されていません。

しかし、医薬品と飲み合わせるときには注意が必要です。たとえばワーファリン(抗血液凝固薬の一種)と併用すると、薬の効果が弱くなることが確認されています。

何らかの薬を飲んでいる場合は、コエンザイムQ10を継続摂取する前にかならず医師に相談するようにしましょう。

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